〔7基の画法〕3破の応法

3破の応法〔さんぱのおうほう〕

基本を身につけたら

 
絵画制作の重要な7つの技法を「7基の画法」としてお話ししてきました。
始めて間もない人は、まずはこの7基を理解し、実践できるように練習してみてることです。
 
もし、欠けているものがあるとすれば、どこかで行き詰ってしまいます。
制作で迷った時に、この「7基の画法」を知っていれば、必ず解決への道が見つかるはずです。
実践までは至らなくても、「あの方法があったな」と覚えていて、困った時に試してみるだけでも、作品のクオリティーは見違えるように変わっていきます。
ぜひ、この7基を記憶しておいてください。
 
これから語る「3破の応法」は、7基を身につけた上で打ち破る、応用編となります。
必ず身につけなければいけない、というものではありませんが、知っておくと絵の秘密がさらに解読できます。
なぜこの絵を良いと思ったのか、なぜこの絵が評価されているのか、その秘密を解く鍵がここにあります。
 
もし、あなたがこの応法を身につけるところまで行けば、かなりレベルの高いところまで到達できることになります。
受験でいえば藝大レベル。コンクールでいえば受賞レベル。
それらの作品の魅力とすごさにさらに気がつき、自分でも実践してみたいと思うようになるでしょう。
 

秘密にされてきた応法

 
ここに記す応法を体系化したような書籍に、私は出会ったことがありません。
作品でしか語らない画家達が感覚的に身につけ、弟子達にまた感覚的に筆さばきを見せながら伝聞によって、伝えられきた要素が強いことなのだと思います。
 
美大などでここまでやらないのは、そもそもそのレベルに行き着く学生が少ないということです。
中には、1破の「筆勢」をドローイング実習として、講義で行なっている大学もあります。
しかし、基本を身につけないままこの方法を知ってしまうと、学生は楽な方向へと進んでしまいます。
技術習得への興味を無くし、基礎をすっとばして、それらしくアーティスティックに見える、そればかりやる学生の作品だらけになってしまうので、あえて教えないということなのでしょう。
 
実は、この「3破」を、天然でやってのけてしまう人もいます。
その人たちは、子どもの頃から天才ともてはやされる人々です。
普通ならば、基本(ここでいう7基)をマスターした上で到達できる領域に、感覚的にたどり着いてしまうのです。
しかし、この応法は、学び練習を積むよっても身につけていくことができる、一つ一つの「技法」に分解することができます。
これらを私は「3破の応法」と呼び、すべての人に伝授していければと考えました。
 
ここでは、私自身が多くの時間と労力を割き、作品や画家に会いに行き、聞き出すことのできた秘密をここに書いていきます。
それが、次世代のためにできる、せめてもの貢献だと考えたからです。
包み隠さず、全て書いておきます。
あなたの中に、作品の中にこの画法が生き残っていけば、私のやってきたことが、次の人々のために少しでも役に立てたという意味だと思ったからです。