〔7基の画法〕はじめに

はじめに

美術の力とは

 
美術の力とは何か。

「デッサン力」と思いつく人も多いでしょう。
しかし、それは一つの要素でしかありません。毎日デッサンのみをやっていても、本当の意味での作品制作の力はつきません。もちろん、物の形を捉える力はついていきます。基礎的なトレーニングとして、おおいに時間をつぎ込んでも無駄なことはありません。
問題は、その先の作品制作についてです。写実絵画のように、リアルに描かれた絵画にも、作品に込められた+αがあります。
 
絵は「感性」だ、「感性」を鍛えることで、技術は関係ない、と指導されてきた人もいるかもしれません。これも、大変危ういことです。
限られた技法しか習得しないまま、「感性」のみに頼って制作していくことは、自らを袋小路に追い込むようなものです。自分には才能がない、と言って途中で挫折してしまうことになります。
少なくともスタンダードな技法は習得し、いつでもどんな表現ができるようにしておくことで、自分の表現の幅も広がり、見方も広がります。
 

7つの基本画法だけで良い

 
皆さんは、どのような目的で、このサイトを見てみようと思ったのでしょうか。
絵画を始めようと思っている。イラストレーターになりたい。なんとなく、デザイン系の仕事を考えている。様々ではないかと思います。
漠然と、絵がうまくなる方法を知りたい、という人もいると思います。
絵に関する事ならば、どんな目標や目的であっても大丈夫です。見ていただいた後には、きっと、世界の見え方が変わっていることでしょう。
 
私が自分自身で絵を描き、美術を指導してきた経験から、たった7つの画法さえマスターすれば、どんな表現も可能になるということを実感してきました。
 
例えば、受験でどんな課題が出されても、合格点に達することができます。
美術デザイン系のどんな仕事に就いても必ず役に立ち、困った時はこの7つの画法が助けてくれるでしょう。
絵画で表現を深めたい人は、7つを一通り経験した後、どれかを選択したり、ミックスしたりして、自分なりの表現を見つけることができるでしょう。
 
偶然訪れたこのサイトに書かれていることを、まずは一つでもいいので実践してみてください。
鉛筆一本でもできることが書かれています。
きっと「自分にもできる」ということが実感できるでしょう。
 

センスや才能はいらない


「私には美術的センスや才能がないので」と、臆病になっている人がいたら、はっきりと言っておきます。
センスや才能は関係ありません。
ヘタならヘタなりに、自分の方法で進んでいくことで、うまい人には出せない味が出てくるのが美術です。
誰しも本当は、才能を持っているのです。
「7基の画法」は、あなたの中に眠っていた才能は引き出してくれます。
あとは、あなたがそこに水をやり、育てていくだけです。
 
「7基の画法」をマスターすれば、あなたはきっと「思った通りに描けない」という制約から解放されることでしょう。
「こう描きたい」と思った時、その道筋を思いつくようになってくるでしょう。
 
さあ、道が開けます。
どこへでも行こう。そう、自由になるのです。
 
本当は心のやさしいあなたは、挫折を味わい、拒絶され、ここに来ているのかもしれません。
美術に触れていくことで、あなたの魂は救われます。
 
効率化された産業構造の中で、部品としてではなく、あなたはあなたとして生きるのです。
あなたを否定し続けた人間関係から解放され、誰の基準でもなく、あなた自身をあなたが認め始めるのです。
 
今日から作り始めよう。
今日からは、自分自身のために。
そして、あなたを待つ、未来の誰かのために。

筆者紹介

上原一馬

美術教師。地域高校、実業高校、進学校、すべての高校校種で指導経験を持つ。「どの子も育つ道あり」を信条に、どんな学校でも指導可能な、生徒の造形力を伸ばす教材・メソッドを開発。自身でも制作発表活動を行い、国展での受賞歴などを持つ。
筑波大学大学院修了。長野県在住。国画会会員。特技は剣道 錬士六段。