〔7基の画法〕2基 色面分割
2基 色面分割
「面」でとらえる
前章では、輪郭線で描く方法を紹介してきましたが、ここではもう一つ違った表現方法を見ていきたいと思います。
それは、「色面分割」と呼ばれる技法です。
「ポスタリゼーション 」とも呼ばれます。明るさを手がかりに描く「明度分割法」というのもありますが、この中に含めて見ていきます。
この方法は、前章とは全く方法が異なり、「線」を一切使いません。
線で描くことに慣れてきた人は、「え?じゃあ、どうやって描くの?」と思うかもしれません。
「線」に頼らず、「明るさ」を手がかりに描いていく方法です。
「面でとらえる」というと、デッサンを経験したことがある人は、石膏デッサンの「面取り」を想像することでしょう。
そこに通じるところはありますが、もっと実践的で応用範囲が広いのが、この「色面分割」です。
デッサンや人物画の練習をしている人も、一度「色面分割」を経験すると、今やっていることが腑に落ち、スムーズにできるようになると思いますので、ぜひ実践してみてください。
最初はコピーを使って
次に、「色面分割」の実際の制作方法を見ていきましょう。
ここでは、誰でも比較的成功しやすい方法として、白黒コピーを使う方法で解説しています。
慣れてくると、コピーは使わなくてもできるようになりますが、明るさの捉え方を学ぶためには、このコピーを使う方法が上達への近道です。
それでは、手順を見ていってみましょう。
色面分割〔1〕下準備
(1)写真をボードの大きさに拡大白黒コピーします。(2 枚)
(2)白黒コピーをボードと同じ大きさに切ります。
(3)鉛筆で白黒コピーの裏側を黒く塗ります。
すき間が空かないよう、交差するように2方向から塗っていきます。
色面分割〔2〕明るさごとの島に分ける
(4)マスキングテープで、白黒コピーをボードに上2カ所とめます。
(5)赤ボールペンで、黒・白・灰の順に3~4 つの島に分けていきます。
(リアルカラーの場合は色の境目をすべてなぞります。)
この時、普通に見ていても、明暗の違いはとらえることができません。
「うす目で遠くから見る」というのがポイントです。
(6)めくって、ちゃんとできていくか確認しながら進めていきます。
地図のように気持ち悪い顔になっていますが、大丈夫です。
(7)暗い方から「1,2,3~」の番号をつける。
黒→白→灰色を2つに分ける、の順に進めていくとやりやすいです。
(8)同じ明るさが同じ番号になっているか、確認します。
黒→白→灰色を2つに分ける、の順に進めていくとやりやすいです。
(8)同じ明るさが同じ番号になっているか、確認します。
色面分割〔3〕色決め
(9)作品色合いを決めます。
A モノトーン(白灰黒)
B 同系色 … 赤系、青系、緑系など
C 印象色 … 全く違う色同士(印象重視)
D リアルカラー … 写真と同じ色
の4種類があり、作りたい作品のイメージに合わせて選びます。
(10)配色カードで、同じ明るさの色を探します。
この時もうす目で同じ明るさの色かチェックします。
(リアルカラーの場合は、写真の色のとおり塗るので、カードで色を決める必要はありません。)
色面分割〔4〕色塗り
ここでは、ムラなく塗る方法で、解説していきます。
(12)丸穴パレットの1 くぼみに1 色ずつ作ります。
色が残らないようにしっかり混ぜます。
固さはいつもコーンポタージュ(溶けたアイスクリーム)。これより、薄いと色ムラができ、固いとボコボコに盛り上がってしまいます。
(13)細筆でまわりをまず決める。
色は暗い順にだんだん明るい方へ塗っていきます。この順番を間違えるとうまくいきません。
(14)太筆で中を塗る。
一度塗ったらドライヤーで乾かして、もう一度塗ります。(紙の色が透けてしまう「透けムラ」をなくすため)
(15)白黒コピーと見比べて、塗り忘れがないかチェックします。
(16)2色目。白黒コピーを見ながら進めます。
うす目で明暗が同じになっているか、チェックしながら進めていきます。
(17)3色目。パレットは1くぼみ1色。
足りなくなり絵具を足すと、色ムラの原因になるので、多めに作っておきます。
制作中は、絵具はラップで保存します。
(18)完成。人物の印象を大切に塗っています。
特に、目鼻口は細心の注意を払うと、人物の表情が出てきます。
色は暗い順にだんだん明るい方へ塗っていきます。この順番を間違えるとうまくいきません。
(14)太筆で中を塗る。
一度塗ったらドライヤーで乾かして、もう一度塗ります。(紙の色が透けてしまう「透けムラ」をなくすため)
(15)白黒コピーと見比べて、塗り忘れがないかチェックします。
(16)2色目。白黒コピーを見ながら進めます。
うす目で明暗が同じになっているか、チェックしながら進めていきます。
(17)3色目。パレットは1くぼみ1色。
足りなくなり絵具を足すと、色ムラの原因になるので、多めに作っておきます。
制作中は、絵具はラップで保存します。
(18)完成。人物の印象を大切に塗っています。
特に、目鼻口は細心の注意を払うと、人物の表情が出てきます。
色面分割の絵画への応用
「色面分割」は、もともとデザインの手法として使われ始めた方法です。
今でも、デザイン系の美大受験の際には、この方法で色彩構成の作品を作りったりしています。
私は油彩で人物を描く時、頭の中ではこの分割を意識しています。
だいたい2〜3段階の明度の分割でとらえるようにしています。
こうすることで、描画の際、迷うことなく1発で塗り進めることができるからです。
平塗りで塗っているのに、立体的に表現できる方法。これが「色面分割」です。
絵画だけを学んできた人は、意外に知らない人も多いようです。
一度体得してしまうと、表現の幅が広がりますので、ぜひ試してみてください。